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週6時間!学校を飛び出して地域で実践する「探究ゼミ」が育む、社会で生きる力

こんにちは、FC今治高校 里山校(通称:FCI)の公式note編集チームです。

FCIは、サッカー元日本代表監督を務めた岡田武史さんが学園長を務め、2024年4月の開校を目指す愛媛県今治市の私立高校です。サッカー人材の育成ではなく、これからの世界を生き抜いていく力を持った「ヒストリック・キャプテン」の育成を目指しています。

FCIではさまざまな実践的な学びを通して、それぞれ生徒の皆さんが夢中になれるテーマを見つけることを一番大事にしています。

高校在学中にリアルな社会経験を積みながら、自分が熱中できるテーマを見つけてほしい学びたいこと、学ぶ意味をしっかりと持ったうえで、大学進学なのか就職なのか、起業なのか、自分らしい進路選択をしてほしい。

「里山未来創造探究ゼミ」は、社会の中から自分の「好き」を見つける、FCIならではの授業です。

では3年間続いていくこの授業が、一体どういう授業なのか?何を学ぶのか?気になるポイントを解説します。


「里山未来創造探究ゼミ」
地域と連携して実施する探究授業を3年間の必修授業として実施。1年生から2年生にかけてはチーム探究に取り組み、連携先の地域企業で実業を体験しながらまだ見ぬ世界に触れて自分の興味や関心を探ります。2年生の後期からは自分の興味関心をベースにしたマイプロジェクトを企画・実践。様々な人を巻き込みながらプロジェクトを成功に導くためのスキルとマインドセットを学びます

【1年生】はじめの探究テーマは「自分自身」

FCIでは探究の授業を主に3段階に分けて設計しています。
まず第一段階として1年生前期では「自己理解」、つまり「自分を知る」ことに取り組みます。

「探究って、世の中の課題や社会問題をテーマにして考えていくのに、どうして自分を理解する必要があるの?」

なかにはそう思った方もいらっしゃるかもしれません。でも私たちは、まず自分を理解しなければ、社会に貢献していくことは難しいと思っています。

15歳の皆さんに、いきなり「社会」について考えなさいと言っても、ピンとこない人の方が多いはずですし、何より「社会」という言葉が表す範囲にはものすごく大きな差があります。身の回りの半径何メートルまでを「自分」と呼び、半径何メートル以上を「社会」と呼ぶのかは、人それぞれの感覚によって全く違うものです。

自分がワクワクするテーマは何か?
何をしているときが楽しいのか?
どんな役割が向いていそうか?
チームで問いに向き合った時にはどんな力を発揮できそうか?

そうした自分への理解があって初めて、それをベースに、どうやって他者に向き合っていけるかを考えることができます。

逆に「自分」の意志が不在のままで漠然と「社会」の問いに向き合っても、他人事としかとらえられず、のめり込んで主体的に探究していく姿勢にはなりづらいものです。

自分を深掘りすることで、自分が何に興味があって、どういうことを、誰に向けてやっていきたいのかを知ることができます。そして自分にとっての「社会」の範囲をゆるやかに決め、自分らしい「社会」への向き合い方を考えていきます。

しかし多くの人がお分かりの通り、自分のことを理解するのは簡単ではありません。大人でも、自分のことを自分の言葉で語ることにハードルを感じる人も少なくないと思います。なぜならこれまでの学校教育では、ほとんど学ぶことはなかったから。

でも一見難しそうな「自己理解」や「言語化」にもコツややり方があり、訓練すればできるようになります。FCIの1年生では、まずはこうした思考術や考え方のツールを身に着けていきます。前期の半年では自分自身を振り返るワークに重点的に取り組みます。

・自分の偏愛を他者に共有するプロフィール帳づくり
・過去と未来を表現する人生グラフ
・今治のまちを、コト・モノ・ヒトの視点でまちあるき

目的は自分の心が「ワクワクする瞬間」を、過去や未来の自分自身から掘り出すこと。そして、自分の手が届く範囲の「社会」が何かを定義し、問いを解決することで幸せにしたい対象を言語化すること。

自分よがりでもなく、社会のためだけでもない。
社会の一員である等身大の自分として、社会に積極的に関わりながら問いに向き合っていく姿勢こそ、意味のある探究を深めていくためには欠かせません。

自分を振り返るワークに様々な角度から取り組みます

■自分らしく社会で生きていくためには「内省」がカギ

探究活動は試験のように分かりやすく点数で評価されるものではありません。正解のない問いに向き合っていくためには、自分自身で活動の状況や行動を客観的に振り返り、改善のためのアクションを考える「内省」のスキルを身に着けることがとても重要です。

これは探究活動に限った話ではありません。

自分の心の状態を健やかに保ちながら社会を生きていくためには、他者からの評価に頼るだけでなく、自分がどういうときにモチベーションが上がるのか、何がやりたくてやりたくないのか、興味があるのかないのかを内省し、自分自身の評価軸で測りながら、ときに軌道修正していくことが大切です。

1年生の初めに、こうした内省の方法を学ぶことは、後々の学びにも大いに生かされるはずです。

【1~2年生】チーム探究でプロジェクト運営のイロハを学ぶ

■まずは模擬プロジェクトに挑戦

自分を理解して次に挑む第二フェーズは、チームでの探究です。
いよいよ学校を飛び出し、今治の企業とともに課題の解決に取り組みます

しかしいきなり、企業と一緒にプロジェクトに取り組むといってもなかなかハードルが高いもの。そこで“模擬プロジェクト”として用意しているのが、オープンキャンパスです。

今年も8月~9月にかけて実施したオープンキャンパス。このオープンキャンパスをテーマに、生徒たち主導で企画を考え、実際に運営に取り組んでもらいます。

2023年オープンキャンパスにも大勢の生徒と保護者が参加してくれました

オープンキャンパスに参加するのは、未来の後輩たちです。

どんなコンテンツがあったら参加したいと思ってくれるか。
当日までにどういうスケジュールで用意を進める必要があるか。
何を準備しなければいけないか。

など、当事者の意識で企画・運営してもらいます。

このプロジェクトを通して企画書の書き方や、チームでプロジェクトを進めていくために必要なスキルやフレームワークを練習していきます。

■地域企業のお題に取り組むチーム探究

そして後期からは、地域企業を題材にしたチーム探究に本格的に取り組みます。ここではいくつかのチームに分かれて、少人数で探究を深めていきます。企業ごとに設けられた異なるテーマに対して、どうしたら解決できそうかを企業の方と自分たちで考えます。

例えば、フードコーディネーターのTORICOのチームでは、今治の食材を活かした商品開発がテーマ。

食や農は人々の生活に密着したテーマであると同時に、生産者の減少や自給率の低下など、難しい課題が多い分野でもあります。新たな商品の開発でこれまでになかった価値を生み出し、生産者や地域に還元する。そのために商品の企画や開発、販路開拓、販売に取り組みます。

TORICO 小林友香子さん

今治タオルメーカーの株式会社丹後では、タオルの切れ端を使ったアップサイクルに取り組みます。

タオルは今治が世界に誇る一大産業です。一方で工業製品であるがゆえに、これからはより環境に負荷をかけない生産体制や、SDGsに配慮したモノづくりの姿勢が求められます。

タオルの生産工程では、どうしても端材や切れ端、またキズ物なども生まれます。通常だと捨ててしまうこうしたアイテムを、様々な発想でリメイクしたり再利用にチャレンジします。

株式会社丹後 丹後博文さん、丹後佳代さん

FC今治のホーム、里山スタジアムもゼミのフィールドです。
運営する里山サロン(カフェ)のチームでは、里山サロンを軸にどう新しいコミュニティを創出していくかをテーマに取り組みます。

FC今治のマーケティングやセールス、広報といったバックオフィスの社員と学びあうチームでは、実際にサッカーホーム戦の集客プランやイベントの企画を考えます。

FC今治 スタッフの皆さん

ほかにも、しまなみの島に位置するグランピング施設、グランルークしまなみ観光をテーマに学んだり、社会福祉法人 来島会福祉や介護をテーマに学んだりと、様々な分野で学びあいの機会を用意しています。

こうして連携先の地域企業で実業を体験しながら、社会に潜むリアルな課題から解決方法を考えていくことは、自分自身の知識や経験の幅を増やし、さまざまな人たちとともに問題を解決していくスキルやマインドセットを養います。

チームでプロジェクトに取り組むことは、自分の役割やタイプについて理解を深めるきっかけにもなります。

企画するのが得意な人、着実に実行していくのが得意な人、事務作業で力を発揮する人など、世の中にはいろんなタイプの人がいます。また置かれた環境やメンバー構成によっても、自分の中のどういった部分が力を発揮するかは時と場合によって様々です。

他人と共同で役割分担しながらプロジェクトを回していくことは、自分自身の多様な一面を発見したり、得意不得意が見つかるきっかけにもなるでしょう。
そしてそうした発見が、自分自身を形づくる一つの「軸」「らしさ」になっていくはずです。

自分そしてチームメートがどんな力を持っているのかを発見する機会にも

■学びの進捗を言語化し、成長を促すコーチング

1年生では、年間を通して毎週6コマの探究ゼミを予定しています。プロジェクトの要所要所で内省しながら、自分自身で進捗を確認したり振り返っていきますが、その手助けをしてくれるのが、1on1のコーチングの機会です。

カリキュラムパートナーであるエール株式会社の協力のもと、生徒一人ひとりの話に耳を傾け、自分の今の状態を言語化する手助けをしてくれます。

言葉の裏側にある想いや願い、意志、愛情、エネルギー。信頼できる、適度な距離感の大人に話をしていく中で、自分でも気が付かなかった本心や、見過ごしていたつまづきが見つかるかもしれません。課題や発見を得れば「次はこうしてみよう」というアイディアや改善につながっていくかもしれません。

【2~3年生】やりたいこと×社会への関わり方=マイプロジェクト

1年生の後期から2年生の前期まで1年間のチーム探究を経て、2年生の後期からは最終フェーズである「マイプロジェクト」の立ち上げに取り組みます。

マイプロジェクトとは、自分自身の関心をベースにしながら、社会との関わりの中でプロジェクトを立ち上げ、実践を通して学ぶ学習スタイルのことです。

チーム探究から一歩踏み出して、生徒それぞれが自分のテーマをもって問いを立て、解決に取り組んでいきます

大切なのは、いかに周りの人たちの力を借り、意見を集め、地域の中で実践できるかということ。自分の関心だけを追求するのではなく、地域においてそのプロジェクトがどういう意味を持つのかを、地域の人たちとともに考え、学びあうことを目指します。

3年生になると、進路に合わせて活動のバランスをそれぞれ調整していきます。どんな進路を描いている人にとっても、マイプロジェクトを通して得た学びがきっと大きな武器になるはずです。

例えば選択肢の一つである大学進学では、昨年、学校推薦型選抜入試や総合型選抜入試での入学者が一般選抜入試を上回りました。

一般的に学力が評価の基準になる一般選抜に比べて、学校型選抜や総合型選抜では、自分がどうして入学したいのか、何に取り組んできて、これから何に取り組んでいきたいのかがより問われる入試です。大学入試の評価軸は、年々多様になりつつあります。

探究ゼミで見つけた『問い』の続きを大学でも取り組みたい、というモチベーションは、入試でも前向きに働くでしょう。もちろん探究だけをやっていれば大学に合格できるというわけではありませんが、探究を意欲的に深めようとすれば、自ずと勉強にも身が入るはずです。

探究に取り組む中で、自分で起業してみようという人もいるかもしれません。興味のあるテーマが見つかって就職を考える人も出てくるかもしれません。
自分の進路を自分で決める、里山未来創造探究ゼミはその一歩なのです。

探究に熱中する3年間が原体験となり、自分の未来を切り拓く

探究ゼミは、自分に向き合い、その後長く続いていく自分の人生をどう生きていくか、どういう自分でありたいかを考え、問い続ける作業です。
だから、決して3年間で終わりではありません。

地域で問いに向き合った経験はリアルな原体験となり、視野を広げてくれるはず。
テーマを掲げて探究し学び続ける姿勢
は、卒業してもしっかりあなたのものになっているはず。
身に着けたスキルやチームワーク術、思考術、処世術
は、その後のキャリアや人生においても価値を発揮するはずです。

FCIでは里山未来創造探究ゼミを通して、これからの社会を変えていくために主体的に問いを立てて解決へと向かう“キャプテン”を育成していきます。

ぜひご興味があれば、オンライン学校説明会へのご参加もお待ちしています。


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