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【教室を飛び出して社会で学ぶ】FCIの独自授業を一足先に体験するキャンパスツアーに潜入!

2023年11月26日。東京、大阪、愛知、神奈川など、県内外から11組の中学生とその保護者の皆さんが今治駅前に集まりました。

皆さんの目的は、この度初開催したFCIキャンパスツアー。開校前のFCIのユニークな授業を一足先に体験できる機会です。

今回のnoteでは、FCIでの学びを疑似体験した1日ツアーの様子をお届けします。

▼当日の授業ダイジェスト動画


1限目:スポーツの授業

FCIが力を入れる授業のひとつが、スポーツ(保健体育)です。スポーツといっても実技だけではなく、一つの道を本気で究めたからこそ鍛えられる強いマインドも、学ぶべき大切な要素です。

彼ら彼女らの熱量や想いに直に触れることは、生徒自身にとっても大きな刺激となり、自分の生き方や考え方を見つめ直したり、大切なことに気づくきっかけになるはず

そんな思いから、FCIではスポーツの授業の中でトップアスリートと対話によって学びあう「実学」の時間を月に1度設けています。

今回のキャンパスツアーでは、スポーツの特別講師で元パラアイスホッケー選手の上原大祐さんと1時間のセッションを体験しました。

上原 大祐 さん(うえはら・だいすけ)
1981年長野県生まれ。元日本代表パラアイスホッケープレーヤー。トリノ、バンクーバー、平昌の3大会パラリンピックに出場し、2010年バンクーバーパラリンピックでは、準決勝のカナダ戦で決勝ゴールを決め、銀メダル獲得に貢献。引退後はNPO法人D-SHiPS32(ディーシップスミニ)を立ち上げ、障害者の立場から社会課題を解決する活動を展開している。

「課題=何かを変えられるチャンス」

先天性の二分脊椎症により、生まれつき歩くことができなかった上原さん。そんな事実に向き合いながら、自分にできること・自分にしかできないことに目を向け、自分自身の強みを最大限強くすることで競技の場面でも活躍してきました。

今ではそんな視点を社会に向け、自分が直面した課題は次の世代に持ち越さないという強い思いで、NPO法人を設立。商品開発やデザインなどを通して解決に向けた取り組みを展開しています。

「課題っていうと、ネガティブなイメージでとらえられることが多いよね。「あ~、困ったな、解決しなきゃいけない、なんとかしなきゃいけない」って。でも僕はそうは思っていなくて、課題があるっていうことは、「何かを変えられるチャンス」をもらえたっていうことだと思っています

課題を見つけて、それを乗り越える。そのためにはいろんなアイディアが生まれます。

障害を持っている人たちは、自分の弱い部分を、ほかの強い部分でカバーして、課題を乗り越えている、いわば工夫とアイディアの達人たちなんです。」

「例えば、ブラインドサッカーの選手は、視力をオフにする代わりに耳だけでボールの位置を把握して、ドリブルするしシュートも決める。
目がオフになっている代わりに、耳はオンになっているわけ

私たちからしたら、彼らは「目が悪い障害者」って見えるかもしれないけれど、彼らからすれば私たちは「耳が悪い障害者」っていうこともできるよね。オフな部分もあれば、オンの部分もある。これは人間、全員一緒。

上原さんも体が小さいという弱みがありながらも、自分の強みを活かした戦術をとりながら、プロの世界で戦ってきました。どんな課題を見つけられるかは、自分の強みや弱み、立場や興味関心によって一人ひとり異なります。

それゆえ、自分の強み弱みを把握し、そして相手や仲間の強み弱みを理解し合うことで、イノベーションを起こすチームワークが生まれるといいます。

「一人でできることって、ほとんど何にもないの。いかにチームで解決していくかがすごく大事。自分にできること、自分にしかできないこと。自分の役割が何かを見極め、仲間とともにイノベーションを起こすことがこれからみんなにも求められていきます。

チェンジはチャレンジからしか生まれません。嫌だな、と思っていることがあっても、思っているだけだと絶対に変わりません。チャレンジして、何かアクションしてみること。社会をチェンジ、変えていくためには、チャレンジするしかないんです。

誰かの課題にフォーカスすればイノベーションが生まれる

「誰か一人にフォーカスすると課題が浮き彫りになります。そして課題がわかればアイディアも浮かびやすくなります。」

それを体感するために、『片手で紙を糊付けする』というワークに取り組みました。

片手が使えないという課題にフォーカスすることで、学生たちからはたくさんの『改善点』が挙がりました。

「片手ではキャップが開けにくいから突起を付けたらいいんじゃないか」
「糊の形を三角にしたほうが使いやすいかも?」
「ボタンで糊が出たら解決できると思いました」

「こうやって一人の課題にフォーカスすれば、いろんなアイディアが生まれて、イノベーションが生まれやすくなります。そしてそれは一人の課題だけを解決するものではなくて、実はいろんなニーズに応えられる可能性があるんです。」

そういう意味でも、多様性を認め合える関係性や社会のあり方は重要だといいます。

「なかなか自分ごと化するっていうのは、難しいこと。僕だって、「歩ける人の課題を自分ごと化して考えて」と言われても、「歩けないしな」ってなっちゃう。逆にみんなが「歩けない人の課題を考えて」と言われても、「歩けるしな」ってなると思うんです。

でも例えば、『友達ごと化』だとどうでしょう。「だいちゃんと一緒にご飯行くときに、どんな店だったら行きやすいかな」と考えれば、自然と入り口の段差に目が行ったりするかもしれません。自分ごと化じゃなくて、友達ごと化で考えていけば、多様性を認め合える社会が生まれると思っています。」

日々、課題に向き合って行動している上原さん。学生の皆さんにたくさんの熱い話をしてくれました。重みのある言葉の数々で心のスイッチが入る、まさにそんなあっという間の1時間でした。

2限目:里山未来共創探究ゼミ(テーマ:食育)

1限目の授業を終えた皆さんが次に向かったのは、教室ではなく、野外フィールド「しまなみアースランド」。

FCIでは座学を午前中に終えると、午後は学校を飛び出して市内の連携企業でのゼミや、野外教育に取り組みます

今回のツアーでは、実際に里山未来共創探究ゼミで学びあう、「TORICO」小林友香子さんのゼミを体験しました。小林さんはフードコーディネーターとして今治を拠点に活動されている実務家の一人です。

TORICO 小林 友香子 さん(こばやし・ゆかこ)
料理研究家、フードコーディネーターとして活動。ブランディングやレシピ・商品開発、撮影スタイリング、飲食店プロデュース、販路開拓など、さまざまな角度から食に関わる事業を手掛ける。

お弁当作りで感性を表現、見方を変えて食を考える

会場に到着した参加者を出迎えてくれたのは、色とりどりのおかずたちでした。口々に「きれい!」「おいしそう」「いい匂い」といった言葉があちこちから飛び出します。

地元食材をふんだんに使ったおかずと、有機米のおにぎり

今回はテーブルにバラバラに配置されているおかずを、お弁当箱に詰めていくワークを体験します。
同じおかずでも一人ひとり全く違ったお弁当が出来上がる、その過程と結果を楽しみながら食材への理解を深めます

まずはメニューから素材を想像します
実際に食材と照らし合わせながら、食材への理解を深めます
自分でおかずを選び、配置を決めます
テーブルコーディネートに使われていたのは、コットンやタオルを生産する過程で出る端材をリメイクしたアイテムの数々。

和歌山出身の小林さんは、今治に来て野菜と魚の美味しさに感動したといいます。そんな今治の旬の食材を使ったおかずの数々。

色味のあるおかずをどう配置するか、何色のおかずを選ぶのかでお弁当の印象は大きく変わります。

美味しそうに見えるには?美しく見えるには?思いを巡らせながらそれぞれの「作品」を完成させていきます。

なかにはこんな独創的なお弁当を作った人も!

日々の暮らしを作る「食」をテーマに、互いの発想やアイディアを認め合うランチタイムとなりました。

3限目:里山未来共創探究ゼミ(テーマ:地域産業)

ツアー最後の授業は、TORICOと同じく里山未来共創探究ゼミの連携企業である株式会社丹後でのゼミ体験です。
株式会社丹後は、タオルの産地今治で90年続いていたある老舗タオル会社を引き継ぐ形で、2015年にスタートを切ったタオルメーカーです。

株式会社丹後 丹後 博文 さん(たんご・ひろふみ)
廃業を決意していた老舗タオル会社を2015年に承継。当時、業界未経験で会社としても取引先はゼロ、売り上げもゼロの状態だったが、様々なアイディアや発想をとりこみ、自社ブランド「OLSIA(オルシア)」を立ち上げ。現在は伊勢丹新宿店と阪急うめだ本店にて常設販売を行う。

共創すれば、自分だけでは生まれない発想にたどり着ける

ツアーではまずタオルの生産現場を案内してもらい、様々な技術が集まって1枚のタオルが出来上がる工程について目の当たりにした参加者たち。多くの人の手を通って生み出される、モノづくりの現場を体感しました。

タオルの生産において、どうしても出てしまうのが「ほつれ」や「キズ」のついた『B級品』といわれる商品。工場見学の後は、どうしたらB級品に新しい命を吹き込むことができるか、アイディアを出し合うワークショップを体験しました。

「間違っていることはないからね、どんなアイディアも間違いじゃないから、まずは書いてみようか」

それぞれタオルを手に取って眺め、思いついたアイディアを書いていきます。

ひとしきりアイディアを出し切った後、丹後さんが声を掛けました。

「じゃあ次は、チームに分かれて『コラボ』でアイディアを考えてみようか。隣の人のアイディアと掛け合わせたら、新しい発想が生まれるかもしれないからね。

どんなアイディアも考えも間違いとかはなくて。「そんなん変や」とか、「できんやろ」とかは一旦は置いておいて、まずは自由に話し合ってみて」

それぞれが考えたアイディアを自由に共有しながら、いろんなアイディアが湧いていきます。

「財布というアイディアとスマホケースっていうアイディアを合わせたら、新しい商品ができるかも」
「タオルを切り取って使うっていうアイディア、いいね」

そんな風にして生まれたアイディアをチームごとに全体に共有したあとは、実際に丹後さんがB級品をリメイクして作った商品も紹介してくれました。

ウールとタオルを組み合わせて作った洋服や、キズが分からないように加工されたヘアバンドなど、様々なアイディアで新しい商品へと生まれ変わっていました。売れ行きが好調なもの、なかには不調なものもあるようでしたが、それも含めて試行錯誤を重ねていることを教わりました。

丹後さんは皆さんにこう声を掛けました。

「一人のアイディアも大事だけど、こうやって話し合うっていうことがとても大事。自分だけでは出てこない発想やアイディアが、人と話すことで生まれたりするんよね。

ぜひいろんな人とのいろんなコミュニケーションを、これからも楽しんでもらえたらと思います」

「学校では、9教科くらいかもしれんけど、社会に出たら1万教科くらいある。やりたいこと、得意なこと、それぞれ違うと思うけど、それで良くて。何を学んで社会でどんな力を発揮するかは自分次第。

大人になるって、すごい面白い。自分のやりたいことを見つけて、いろんなことにチャレンジしてもらえたらなと思います。」

地元の産業を後世へと繋いでいくために、タオルメーカーの社長として様々なチャレンジをされている丹後さん。そんな人からの想いのこもったエールは、きっと皆さんの心にも響いたと思います。

やりたいことに熱中し、楽しんでいる大人たちとの本気の学びあい

今回のキャンパスツアーはこれでおしまいです。
学校を飛び出して、実学・実践のスタイルで学んでいくFCIの授業が少しでも伝わっていたらとても嬉しいです。

FCIでは、社会のなかで何かに熱中し、夢中になり、自分の役割をまっとうしている、そんな生き生きした大人たちとの学びあいの機会に溢れています。

学校が社会に出る前の準備のための場所だとしたら、きっと実際の社会に混ざり合って学んだほうが、生きた学びが身につくのではないでしょうか。

FCIが気になった方は、ぜひ第2回キャンパスツアーへのご参加もお待ちしています。


■12月3日(日)には一般入試説明会を開催します

2024年1月4日~10日に出願期間を控える一般入試。FCIの入試では学科試験を一切実施しません。どのように合否を判断するのか、どういった試験内容なのかなど、一般入試についての気になるポイントを解説します。ぜひご参加ください。

■個別相談、LINEでのご相談もOK!

FCIでは皆さまからの不安や疑問にお答えするため、個別相談会やLINEでの質問も受け付けています。気になった方はお気軽にお問い合わせください。


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